スギ花粉症の舌下免疫療法
スギ花粉のエキスから作られている錠剤を、口の中(舌下部)で溶かして服用し、スギ花粉に体を慣らしていく治療法です。2014年に健康保険が適用された比較的新しい治療法です。
この治療法の特徴について
良いところ
- スギ花粉症の治癒や長期間の症状消失の可能性がある、根本的な治療法である。
- スギ花粉症の症状が消失しないまでも、アレルギー治療薬の使用を減らせる可能性がある。
- 自宅で出来る、痛みがない、重症の副作用の発生が非常に少ない。
悪いところ
- 長期間(3~5年間)の治療が必要。
- 花粉が飛散していない時期も、毎日欠かさず服薬が必要。
- きちんと治療をしても、約20%の人には効果がない。
- 長期間の治療で効果が得られても、時間とともに徐々に効果が弱くなることがある。
- 治療期間中は、1か月に1回の受診が必要。
- 軽い副作用(口や喉のかゆみ、腫れ、違和感など)は、結構な頻度で起こる(約20~40%)。
この治療法の適応について
この治療法の適応は、「スギ花粉症の方」です。
小児の年齢制限はありませんが、「錠剤を舌下部で1分間、飲み込まずに保持できること」が必要です。
治療をお勧めしたい方
- 数年後に受験を控えた学生
- 数年後に妊娠・出産の可能性がある女性
- 眠気などの副作用で、アレルギー治療薬が服用しにくい方
治療できない方
- 重症の気管支喘息の方
- 悪性腫瘍、免疫系の病気がある方
治療をおすすめできない方
- 気管支喘息の方
- 高齢の方
- 妊婦の方、授乳中の方
- 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
- 口の中に傷や炎症がある方
- スギ花粉以外のアレルゲン(ハウスダスト・ダニ・他の花粉)に対しても反応が高い方
- 次の薬剤を服用中の方:ステロイド薬、β遮断薬、三環系抗うつ薬、MAO阻害剤
治療のスケジュール
- 治療を開始する前に、スギ花粉症であることを確認します。
- 治療開始は、スギ花粉症が飛散していない時期(6月~12月)に行います。
- スギ花粉のエキス錠(シダキュア)を、最初の1週間は低用量(2000JAU)を2週目以降は常用量(5000JAU)を服用します。
- 初回の服用は、クリニックで行います。
服用方法
- 1日1回、舌の下に錠剤を置き、1分間保持した後、飲み込みます。
- 錠剤は、舌の下の置くとすぐに唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まずに、1分間舌の下で保持します。その後5分間は、うがい・飲食は禁止です。
さらに詳しく知りたい方は、鳥居薬品のホームページ「トリーさんにアレルゲン免疫療法ナビ」をご覧ください。