鼻の病気

アレルギー性鼻炎

くしゃみ発作の反復、透明で水の様な鼻汁、鼻づまりが典型的な症状です。ある時期だけに発症する「季節性」と年中症状がある「通年性」があり、「季節性」の原因はほとんどが花粉で、「通年性」の場合は、ダニ・ハウスダスト・ペットの毛などの生活環境に原因があることが多いです。
薬物療法で症状はかなり改善できますが、できるだけ原因物質を除去したり、回避することも重要です。原因は血液検査で調べることが出来ます。

急性副鼻腔炎

風邪やアレルギー性鼻炎などの鼻粘膜の炎症をきっかけとして、鼻腔の周囲の空洞(副鼻腔)に炎症が広がった状態です。鼻をかむと色がついた粘性の鼻汁が出ることが多く、炎症の程度が強いと、頭痛や眼の周囲の痛みを感じたり、熱が出ることもあります。鼻汁の吸引やネブライザーなどの局所処置と薬物治療をしっかり行うことで、ほとんどの場合は治癒しますが、きちんと治療しないと遷延化することがあります。

慢性副鼻腔炎

鼻腔の周囲の空洞(副鼻腔)に炎症が持続している状態で、多くは細菌感染が原因ですが、真菌(カビ)やアレルギーが原因の場合もあります。細菌感染が原因であれば、細菌の種類に適した抗菌薬を使用し、局所処置を根気よく継続することで改善が期待できます。しかし大きな鼻腔ポリープが形成されていたり、真菌が原因の場合は、手術治療が必要になることがあります。

小児の鼻出血

ほとんどが鼻腔の入口の粘膜からの出血で、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎の症状が気になり、鼻をいじったり、こすったりすることが原因のことが多く、原因疾患を治療することで改善します。しかし、中には血液が止まりにくい病気が隠れていることがあり、症状や経過によっては血液検査が必要です。

大人の鼻出血

多くは鼻腔の入口の粘膜からの出血で、出血部位が確認できれば、電気凝固処置で止血できます。約20%は鼻腔後方からの出血で、止血剤を浸したガーゼや、止血用の素材を鼻腔に挿入し、圧迫する必要があります。高血圧や肝硬変、他疾患で抗凝固剤を服用していることも出血しやすい原因になります。

嗅覚障害

嗅覚障害の原因として一番多いのは、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻腔粘膜の炎症で、においの成分が、鼻の奥の方にある、においを感じる粘膜にまで到達しないことによるものです。この場合は、原因となっている疾患の治療と同時に、ステロイドホルモンの点鼻治療を行うことで、改善が期待できます。次に多いのが、風邪をひいた後に起こる嗅覚障害で、においを感じる粘膜そのものが、炎症により障害を受けることにより発症します。ステロイドホルモンの点鼻薬や漢方薬で治療を行いますが、障害の程度が強い場合は、改善に時間を要することがあります。他に頭部外傷による嗅覚神経障害や頭蓋内の病変が原因のことがありますが、頻度は多くはありません。